法 律 漫 画 「外野席から失礼します!?」 の 巻
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学費は「特別受益」(とくべつじゅえき)か?
学費は「特別受益」(とくべつじゅえき)か?
特別受益とは「相続人間の不公平を是正するため」の概念です。
特定の相続人だけが故人の生前に贈与(特別受益)をうけた場合
その相続人の相続分が贈与を受けた分減らされるといった制度です。
漫画の中の妻は相続人ではありませんが、
妻が主張していた「予備校費用(学費)」は特別受益にあたるのでしょうか。
学費が「特別受益」にあたる条件とは?
学費が「特別受益」にあたる条件とは?
特別受益に該当する「贈与」や「遺贈」(いぞう)とは
・「婚姻」のため ・「養子縁組」のため ・「生計の資本」のため |
のいずれかの目的でなされる必要があります。
予備校費用はここでいう
「生計の資本」のためかどうかが問題となります。
学費が「生計の資本」のための支出になるかの基準
学費が「生計の資本」のための
支出になるかの基準
「生計の資本」といえるかどうかは
「扶養義務の範囲を超えているかどうか」が基準となります。
具体的な基準としては
①親の資力、経済状況、社会的地位など ②支出された金額の大きさ ③他の子どもとのバランス |
などで総合勘案します。
①親の資力、経済状況、社会的地位
家計の状況から・・・
「相当」といえる支出の場合 |
高額な学費であっても特別受益にならない可能性大
かなり無理をした支出の場合 |
特別受益にあたる可能性大
と考えられております。
②支出された金額の大きさ
金額が大きいほど特別受益が認められる可能性が高くなります。
③他の子どもとのバランス
特定の子どもにだけ高額な学費を支出した場合 |
特別受益にあたる可能性大
全員が同じようなレベルの教育をうけた場合 |
特別受益(不公平)とはいえない
「常識的な判断基準ではあるよな」
【民法改正!】特別受益の主張できる期間
特別受益の主張できる期間(令和3年法改正)
いままでの民法では特別受益は
相続開始後いつ主張しても問題がないものでした。
しかし令和3年4月28日公布の改正民法で
「相続開始から10年間しか主張できない」ものになりました。
(※寄与分も同様の改正あり)
したがって遺産分割を裁判上での審判をする場合は
10年を過ぎると話の折り合いがつかない場合には
「法定相続分」に従った内容での相続しかできないことになります。
※遺産分割協議の場合は相続人全員の同意があれば
10年過ぎても特別受益の請求はできますが、
他の相続人がよほど理解がない限りは事実上難しいのでは
ないでしょうか。
空き家問題と特別受益の関係
空き家問題と特別受益の関係
「なんで今回、特別受益の主張できる期間が設けられるようになったの?」
「近年、社会問題になっている空き家問題対策の一環なのです
。」
つまり・・・
「空き家問題の発端は相続人が不動産の相続登記をサボったせいで知らぬ間に歴代相続人が増え権利関係が複雑になってしまったからだ!」
↓
「さらにいえば相続手続き自体すら相続人がしていないからだ!」
↓
「相続人には相続手続き(遺産分割)を早期に行ってもらう必要がある!」
↓
「相続人にメリットがある特別受益(や寄与分)の主張ができる期間を制限することで遺産分割が早期に行われるに違いない!」
「・・・という理屈のようです。」
「なんだか風が吹けば桶屋が儲かるみたいな発想ね。
上手くいくのから」
「それはわかりません・・・ちなみに「相続時には不動産の相続登記をしよう(登記をしない場合には罰則)」といった改正 も今回行われています。」
「終活ブームの中で相続手続きも変わってきてるんだなあ・・・」